くろき脳神経クリニック院長ブログ

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zoom RSS 頭痛外来について 〜「薬物乱用性頭痛」を知ってください〜

<<   作成日時 : 2009/03/30 18:52   >>

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当院では、院長が脳外科医として長年頭痛の患者さんを診療し治療して来た経験から「頭痛外来」(という名前で区別している訳ではありませんが)を行っています。

頭痛は、殆ど全ての人が経験する症状、病気であり、我慢出来る程度のものから、鎮痛剤を服用して症状を治める程度、そして病院診療所を受診し治療を受ける状態から、病院の救急外来を受診するものまで、その程度やタイプは非常に幅があります。

慢性頭痛の代表である、「緊張型(または筋収縮型)頭痛」と「偏(片)頭痛」の患者さんは、ほぼ毎日のように受診されます。慢性頭痛の中にも、偶然頭蓋内に病変がある場合や、慢性副鼻腔炎などの疾患が慢性頭痛の原因であったり引き金になっている場合もあり、頭蓋内異常病変を否定するためにも一度は脳の精密検査を受ける事をお勧めしています。

院長は脳外科学会認定専門医であり脳卒中専門医ですので、その経験から詳しい問診と神経学的診察をします。これも「精密検査」の一部ですが、やはり脳の検査というと「断層撮影」です。
当院では、MRIを予約なしで、直ぐに撮れるのが特徴の一つです。
予約MRIの患者さんや、MRIを撮像する新患が混んでいたとしても、1時間以上待たなければならない事はまずありません。通常は、受付終了後、10分〜30分程度でMRI検査に進みます。

MRIで頭蓋内に病巣が見つかった場合は、頭痛に対する治療の考え方が変わります。
異常病変が何もなく、やはり一般的な「慢性頭痛」と確定した場合、お薬の治療になります。

ここで、1)緊張型頭痛と2)偏頭痛では、使うお薬がかなり違います。
1)緊張型頭痛では、鎮痛剤と筋弛緩薬(筋肉の凝りや痛みを和らげる薬)を組み合わせ、場合によっては筋弛緩作用を持つ精神安定剤を投与することもあります。これによって、頭の痛み、心のストレス、首や肩や頭の回りの筋肉の緊張、凝りを和らげて、頭痛から解放しようというものです。
診断が正しく、お薬が合えば、数日から1週間もお薬を飲むと、まったく頭痛を感じなくなることもあるぐらい良く効く事が多いです。

一方、2)偏頭痛は、「血管性頭痛」とも呼ばれるように、頭の皮膚に走っている動脈が様々な原因で拡張(太くなる事)して「ズキン、ズキン」と痛くなり、強くなると吐き気を催したり、吐いたり、動けなくなって寝込んでしまう様な強い頭痛も出現します。
「痛み」ですから鎮痛剤は効くのですが、一番重要なのは、頭痛の原因である「頭皮の血管の拡張」を治す事です。そのためにはトリプタン製剤というお薬を使います。昔は注射薬しかありませんでしたが、8年程前から内服薬が開発されて、今では5種類の飲み薬と1種類の点鼻薬があります。皮下注射薬と合わせると全部7種類の中から治療を選択出来ます。
典型的な偏頭痛患者さんにおいて、頭痛の出現早期に(つまり頭皮の血管が拡張し始めた早い時期に)トリプタン製剤を服用すると、驚くくらいに偏頭痛の激しい痛みは起こらず、寝込んだり、吐いたりする事がなくなります。ただ、服薬のタイミングが遅くなったり、「このくらいの痛みで薬を飲んでは、、、」と無理に我慢したりして服薬が遅れると、拡張しきってしまった血管をトリプタン製剤は有効に収縮させる事が出来ないため、頭痛発作は治まらず、吐き気や嘔吐も起こってしまうようです。

そのために、当院では、適切なスクリーニングテストで「偏頭痛」の疑いが強い方に、トリプタン製剤を使用する目的とその効果、適切な服薬方法などを、時間をかけて詳しく説明します。さらに「頭痛手帳」をお渡しして、患者さん自身に自分の頭痛についてもっと詳しく知ってもらい、適切な治療を勉強して頂く一助としています。次回受診時には「頭痛ダイアリー」を記録して来てもらい、どういうタイミングでどの薬を服用したら偏頭痛が治まったのか、どのタイミングやどういう症状ではあまり効かないのか、などを詳しく調査し、今後の治療対策に役立てています。

1)緊張型頭痛には多くないのですが、2)偏頭痛の患者さんの中には、3)「薬物乱用性頭痛」になってしまう方、すでに典型的な3)の状態で来院される方も少なくありません。
3)になってしまう原因は、患者さんの頭痛に対する勉強不足もありますが、頭痛についてあまり詳しくない医師、医療機関に原因がある事が多いようです。結構な頻度で、医師から「ふんだんに」痛み止めを処方されて毎日のように鎮痛剤を飲み続けて1年とか2年という明らかな3)薬物乱用性頭痛の方を診察する羽目に陥っています。

私は「頭痛外来」という看板を掲げているのですから、頭痛について勉強不足の患者さんや正しい治療を学んでいない医師から患者さんを救うのが私の仕事で使命の一つだと思っています。それにしても、「頭痛」、「はい!痛み止め」という感じで、安易に鎮痛剤を処方する医師が多いのには驚きます。

鎮痛剤という薬は、末梢神経にも働く成分もありますが、中心になるのは脳の痛覚(侵害)刺激のブロックです。つまり脳に働く麻酔薬の仲間と考える事が出来ます。これを漫然と、毎日、長期間続けて服用していると、脳の痛覚刺激に対する感受性が高まり(痛み止めに対する感度が低くなると言い換えられます)、薬を飲んでも頭痛がとれなくなってくるのです。
3)薬物乱用性頭痛の特徴として、「痛み止めが効かなくなる」「朝、起きたときから頭が痛い」、「夜中に頭痛で目が覚める」、1)のような凝った感じ、重苦しい痛みもあれば、2)のような拍動性の頭痛もある、つまりいろんな痛みが常に存在する状態で、鎮痛剤を服用したときだけ少し解放されるため、毎日、常に痛み止めを欲する状態になってしまいます。
「頭痛学会」やWHOの定義では、「痛み止めを2日に1回以上のペースで服用し、これを3ヶ月以上続けている人」は3)薬物乱用性頭痛の恐れがあると言われています。

世の中には、「薬物乱用性頭痛」という言葉すら知らない医師もいます。患者さんが知らないのはまだいいのですが、平気で痛み止めをたくさん処方していて、自分が患者さんの頭痛を長引かせ悪化させている事を理解していない医師が結構たくさんいるのは問題です。

今日も、ある診療所でおよそ2年間に渡り、鎮痛剤とトリプタン製剤をずっと処方されていて、鎮痛剤を1日3回、毎日服用し、トリプタン製剤も週に2〜5錠服用しているという女性がいらっしゃいました。
「薬物乱用性頭痛」の事を説明したら、初めて聞いたということでした。前医からもそんな説明は聴いた事がないという事でした。トリプタン製剤が偏頭痛に効く理由、早く飲む必要性についても説明された事がないという話で、私ははっきり言って呆れてしまいました。そんな治療を行っていても、世間的には「お医者様」として通用し、むしろいいお医者さん(薬が欲しいと患者が言えばたくさん出してくれるのです)として評判の良い医師のようなのです。

2)偏頭痛の適切な治療に失敗して、3)薬物乱用性頭痛になってしまうと、治療はなかなか大変です。痛み止めの使い過ぎが原因なので、痛み止めを止めなければ治りません。でも頭痛は酷いのですから、痛み止めを飲まないというのは患者さんにとっては、「痛みを我慢して寝込んでも吐いてもじっとしている」事を強要する様な辛い事なのです。
いきなり鎮痛剤を取り上げる訳には行きませんので、違う種類のトリプタン製剤を試す事、鎮痛剤は1日1錠、酷くても2錠以上服用しないように、徐々に減らす努力をする事を説明し、もう一つ「偏頭痛予防薬」としての効果が期待されるお薬を処方しました。

偏頭痛は、ストレス、いろいろな刺激などが誘因となり、偏頭痛の素因を持つ患者さんを攻撃し、血管が一度収縮した後、反動で拡張するために激しい拍動性の痛みが襲ってくると考えられます。ですから、脳への刺激や、刺激に対するの脳神経系の過敏性、過剰反応を抑える治療も有効と考えられています。そういうお薬の中には、精神安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗てんかん薬があります。
論文も出ていますが、私も経験上、ある抗てんかん薬が偏頭痛発作の頻度や程度を減らす確かな感触を得ています。てんかんという病気は脳細胞が異常興奮してその興奮が周囲に伝播し、結果、意識をなくしたり体を痙攣させたり倒れたりする病気です。抗てんかん薬はその脳神経の異常興奮や、周囲への異常伝播を抑える薬です。そのため、偏頭痛の誘因となる脳神経の過敏性を和らげ、異常興奮を抑える事によって、頭痛発作が抑制されると考えています。

週に1回は頭痛に襲われ、一月から二月に一度は嘔吐して寝込んでしまう様な強い偏頭痛発作のある患者さんに、ある抗てんかん薬を毎日服用してもらったら、トリプタン製剤を週に2、3回つかっていたのに、月に1、2回で済むようになり、寝込む様な事のなくなった患者さんを経験しました。
患者さん自身の言葉として、「これまでこんなに頭痛が楽になったことはない」とか「前の状態から比べると夢の様な感じ」「とても調子がいい」という感想を述べられました。
抗てんかん薬1種類を毎日服用し、偏頭痛発作時には時間をおかずにすぐにトリプタン製剤を服用し、肩こりや頭重感などすっきりしない感じの苦しさには鎮痛剤を限定して使うように指導治療したところ、鎮痛剤は月に5、6回、トリプタン製剤は月に3、4回で日常生活も仕事も制限なく行えるようになったということでした。

たかが頭痛と簡単に考えないでください。
くも膜下出血や脳腫瘍の様な『命に関わる悪性頭痛』でないのかどうかきちんと調べる必要があります。
命の危険のない「慢性頭痛」でも、治療やその対策を誤ると、上記の様な3)薬物乱用性頭痛になっていまい、薬が効かなくなり、仕事も十分出来なくなって(しょっちゅう寝込んでしまう)、「生活の質」(=QOL)が低下します。

正しい頭痛治療のためには、まず「正しい診断」が必要です。
そのためには、頭痛に詳しい、頭痛患者の治療の経験豊富な医師にかかってください。
できれば一度は脳の断層、出来ればCTよりもMRIを受けてください。
そして、正しい診断、正しい治療を受けないと「たかが頭痛」でもQOLが著しく低下して、日常生活すら支障が生じる事を知ってください。

是非、「薬物乱用性頭痛」の事を知ってください。
詳しくお聞きになりたい方は、どうぞ当院を受診してください!


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