脳ドック学会

今週の金曜と土曜、7/8,9は東京で第20回日本脳ドック学会があり、院長は発表もあるので出席してきます。
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(写真は当院のMRI、0.4テスラ永久磁石式オープンMRI)




院長の発表内容を簡単にまとめると、

「当院で使用している0.4テスラMRIで綺麗な脳血管像(MRA)が撮れる。
未破裂脳動脈瘤を診断する上では、最近全国的に普及している高磁場・超高磁場装置(1.5~3.0テスラまたはそれ以上のMRI)に比べて、0.4テスラの中・低磁場装置でも十分な画質が保証される。
逆に言えば、高磁場装置だから綺麗なMRAが撮れるとは限らない。」

というようなことです。

脳ドックや通常診療でMRAを撮るとき、3d TOF(time of flight)という撮像法が一般的に用いられており、それから3次元画像再構成をする際に、MIP(maximum intensity projection)法が多く採用されています。それはMRI付属のワークステーションですぐにできる画像処理で、忙しい脳外科医が画像再構成に忙殺されずに、放射線科医、放射線技師の段階で作成できるものなので、フィルムにプリントする従来の方式でも、モニター上でみるPACSを使った方式でも、MIP像が簡便なものとして使われているのです。

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MIP法によるMRA。これを前後や左右方向に360°回転させて観察します。
フィルムにプリントする際は、位相を変えて回転させたMRAを両目で「交叉法」などにより立体視して観察診断します。


しかし、細い血管が太い血管の陰になるような部分、血管分岐部が見にくい部分(多くは内頸動脈・後交通動脈分岐部、ICPCと略す)は、MIP像を回転する方法では診断が困難な場合があります。

そこで、volume renderingによる3d MRAを作成し、モニター上で観察する「真の」3次元表示が有用となります。

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VR 3d MRAを軸位方向で真下から見たものです。
2枚目の白黒写真と同じような角度なのですが、右ICPC部に小さな脳動脈瘤が認められます。

これを拡大すると、
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(VR 3d MRAで右斜めしたから見上げたところ)


右ICPC部に、血管の折れ曲がりではなく、分岐部に横向きに飛び出す明らかな瘤が確認できます。
そのサイズは、測定部位によって違いますが1.6~2.5mmと非常に小さなものです。

今年の6月に発行された日本医師会雑誌の生涯教育シリーズ特集号「画像診断update」の「未破裂脳動脈瘤」の項のS60ページには、
「MRIの磁場強度は1.5tesla(T)以上が、推奨される」と書いてあります。
隣のS61ページには、「MRA, 3D-CTAともに装置、撮像方法、読影医などの条件が十分揃えば3mm以上の動脈瘤は検出可能である。3T MRAでは、2mm程度の動脈瘤の確定診断も可能である。」と記載されています。

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(VR 3d MRAで後上方やや左から見たところ)



しかし、上に写真で示したように、当院の0.4Tという高磁場装置に比べると磁場強度の低い装置でもVR法による3d MRAを用いれば十分に綺麗な画像が得られ、2mm以下のサイズの瘤でも診断ができるのです。
しかもこの3次元画像再構成に要する時間は、単純にVR像を作るだけなら2秒かかりません。
頭皮の脂肪や皮下の血管、太い静脈、眼窩の脂肪などを取り除く画像処理をしても、4、5分程度しかかからないので、一人の検査が終わり、MRI装置から降りて着衣を整え診察室に入るくらいの時間でできてしまいます。


確かに「静磁場強度」の高い装置は、磁場強度に相応したSN比の高い精細な画像が得られます。
それゆえ、機能的MRI(functional MRI)やfiber tracking法などの機能的検査においては、高磁場・超高磁場装置の方が優れていることは事実です。

しかし、径1~2mm程度の血管や脳動脈瘤を確実に診断する上では、画像解像度が1ピクセル=0.625mm(625μ)の当院の装置で十分であり、VR法を用いれば、高磁場装置のMIP像よりも診断能力は高いと考えています。

逆に言えば、高磁場装置だから、超高磁場装置だから容易に診断できる、という様な思い込みをしないように注意しないと、誤診や見逃しが起きる可能性はあると考えています。

たった6分間の短い発表時間で、どこまで上記のことが主張できるか、やれるだけやってみてきます(笑)。

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